研究
個人の行動と脳活動を再現!「デジタルツイン脳」を開発 ー精神疾患の個別治療シミュレーションの実現ー
精神疾患の個別化医療の実現に向け、個人の生体機能をコンピュータ上で再現する「デジタルツイン」技術が近年注目を集めています。しかし、脳のネットワーク構造と、実際の認知?行動?脳活動の動的なプロセスを個人レベルで結びつけて再現することは、これまで大きな課題でした。このたび、国立研究開発法人国立精神?神経医療研究センター(NCNP)の高橋 雄太室長(東北大学大学院医学系研究科講師兼務)、宗田 卓史リサーチフェロー、山下 祐一室長、東北大学大学院医学系研究科の富田 博秋教授らの研究グループは、個人の脳の機能的結合(コネクトーム)データ(注1)に基づき、その人特有のマルチタスク実行時の認知?行動および脳活動の動的プロセスを逐次的に予測?再現する、新たな「デジタルツイン脳」システムを開発しました。
本システムは、個人の脳ネットワーク情報を入力として、その人固有の認知や行動ダイナミクスを再現する「個別化デジタル脳モデル」を構築するもので、「ハイパーネットワーク(注2)」と呼ばれる高度な人工知能技術を応用しています。ハイパーネットワークは、「あるAIが別のAIの構造や特性を設計する」近年注目されている手法ですが、本研究グループはこれを世界で初めて脳画像(コネクトーム)データへ適用することに成功しました。その結果、本システムは一人ひとりの脳活動パターンと行動特性を高精度に予測できるだけでなく、コンピュータ上で脳回路への仮想的な介入を行い、個人ごとに異なる介入効果を事前に予測する「バーチャル介入シミュレーション(注3)」が可能であることを実証しました。
本研究成果は、日本時間2026年2月13日0時(報道解禁日時:米国東部時間2月12日10時)に、国際学術雑誌「BMEF」(BME Frontiers)に掲載されました。
【用語説明】
注1.コネクトーム(脳のネットワーク、rsFCM):脳内の異なる領域がどのように機能的に結びついているかを示すネットワーク構造のこと。本研究では、安静時機能的MRIデータから得られる機能的結合行列(Resting-state Functional Connectivity Matrix)を使用しています。
注2.ハイパーネットワーク(Hypernetwork):あるニューラルネットワークのパラメータ(重み)を、別のニューラルネットワークが出力する機械学習の仕組み。本研究では、個人の脳配線データを入力とし、その人の脳機能を模倣するメインネットワークの構造を決定するために用いられました。
注3.バーチャル介入シミュレーション:実際の患者に施術を行う前に、コンピュータ上のデジタルツインに対して仮想的な介入(脳結合の強さを変化させるなど)を行い、その結果として症状や行動がどう変化するかを予測する技術。
【問い合わせ先】
(報道に関すること)
東北大学大学院医学系研究科?医学部広報室?
東北大学病院広報室
TEL:022-717-8032
E-mail:press.med*grp.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

TEL
アクセス
交通アクセス










